トイレの床に水たまりができているのを発見した時、多くの人は強い不安と焦りを感じるでしょう。この水漏れは、見た目以上に深刻な問題のサインであることが多く、放置すると建物の損傷やカビの発生、さらには階下への被害にも繋がりかねません。原因は多岐にわたりますが、まず疑うべきは便器やタンクの接続部分、または排水管の劣化や破損です。例えば、便器と床を固定している「フランジパッキン」の劣化や、便器と排水管の接続不良が水漏れの原因となることがあります。これは、トイレを流すたびに床下へと水が漏れ出すため、発見が遅れがちです。次に、トイレタンク内部の部品の故障もよくある原因です。タンク内のボールタップやフロートバルブ、パッキンなどが劣化すると、タンクから便器へ水がチョロチョロと流れ続けたり、タンクの外側や便器との接続部から水が漏れ出したりすることがあります。特に、タンクと便器をつなぐ「密結パッキン」の劣化は、便器とタンクの間から水が漏れて床に広がる典型的なパターンです。また、ウォシュレットを使用している場合は、その給水ホースや接続部分からの水漏れも考えられます。これらの水漏れは、初期段階では少量であることが多く、目に見えない床下にじわじわと広がり、ある日突然、床の隙間や便器の根元から染み出してくるというケースが少なくありません。水漏れを放置することは、水道料金の無駄遣いだけでなく、木材の腐食やシロアリの発生、電気系統への影響など、様々な二次被害を引き起こすリスクがあります。また、集合住宅の場合は、階下の住人への賠償問題に発展することもあるため、発見次第、速やかに原因を特定し、適切な対処を行うことが不可欠です。まずは落ち着いて、止水栓を閉めて水の供給を止め、水がどこから来ているのか、他の水回りでも異常がないかなどを確認し、必要であれば専門の水道業者に相談することが、被害を最小限に抑えるための賢明な選択となるでしょう。
トイレの床水漏れ、緊急時に知るべき原因と対処法