賃貸のアパートやマンションで、トイレットペーパーがなくてついティッシュを使い、トイレを詰まらせてしまった。この時、その修理費用は誰が負担するのでしょうか。「経年劣化だから大家さんが払ってくれるはず」と考えているなら、それは大きな間違いです。賃貸物件では、ティッシュが原因の詰まりは、ほぼ間違いなく入居者の責任と判断されます。 賃貸契約には、「善管注意義務」と「原状回復義務」という重要なルールがあります。大家さんは、入居者が安全に使える設備を提供する義務(善管注意義務)を負っており、配管の老朽化などによる故障は大家さん負担で修理します。一方、入居者は、自分の不注意や間違った使い方(過失)で設備を壊したり汚したりした場合、それを元に戻す義務(原状回復義務)を負います。 そして、ティッシュペーパーをトイレに流す行為は、この「入居者の過失」と見なされる可能性が極めて高いのです。ティッシュが水に溶けにくいことは社会の一般常識と判断されるため、「知らなかった」という言い訳は通用しません。そのため、ティッシュ詰まりの修理にかかる費用は、全額自己負担となるのが原則です。数万円に及ぶこともある修理費は、家計にとって大きな痛手となるでしょう。 もし詰まらせてしまったら、まずは管理会社や大家さんに正直に報告し、相談することが大切です。勝手に業者を呼んでしまうと、後で費用の支払いを巡ってトラブルになることもあります。 賃貸物件での暮らしは、多くのルールの上に成り立っています。特に、トイレにティッシュを流すという行為は、金銭的なリスクが直接自分に跳ね返ってくることを強く認識すべきです。日頃から予備のトイレットペーパーを欠かさず、正しい使い方を徹底することが、無用な出費と面倒なトラブルから自分自身を守るための、最も確実な方法なのです。
賃貸のトイレにティッシュを流すリスク