静まり返った夜、キッチンから聞こえてくる「ポタ、ポタ…」という音。蛇口からのわずかな水漏れは、気になり始めると非常に耳障りなものです。この小さな水滴を侮ってはいけません。放置すれば水道代が無駄になるだけでなく、シンク周りに水垢やカビが発生したり、キャビネットの木材を傷めたりする原因にもなります。しかし、このポタポタ水漏れの多くは、原因を特定すれば自分で修理できるケースも少なくありません。業者を呼ぶ前に、まずは原因を探ってみましょう。 水漏れの最も一般的な原因は、蛇口内部にあるゴム製の部品「パッキン」の劣化です。パッキンは水の流れをせき止める重要な役割を担っていますが、ゴム製のため長年の使用で硬化したり、摩耗したりしてしまいます。すると、その隙間から水が漏れ出し、ポタポタという音を立てるのです。特に、ハンドルをひねって水を出すタイプの蛇口では、このパッキンの劣化が原因であることが大半です。また、レバーを上下左右に動かして水温や水量を調節するシングルレバー混合水栓の場合は、内部の「バルブカートリッジ」という部品の故障が考えられます。 もし自分で修理を試みるなら、作業前に必ずシンクの下にある止水栓を閉め、水の供給を完全に止めてください。これを忘れると、キッチンが水浸しになる大惨事を招きかねません。パッキン交換は、モンキーレンチなどの工具を使って蛇口のハンドル部分を分解し、古いパッキンを新しいものに交換する作業です。パッキンはホームセンターで数百円程度で購入できますが、蛇口のメーカーや型番によってサイズが異なるため、外した古いパッキンを持参して同じものを購入するのが最も確実です。 これらの作業に自信がない場合や、試してみても水漏れが直らない場合は、無理をせず専門の水道業者に依頼するのが賢明です。特に蛇口自体が古い場合や、内部の構造が複雑な場合は、プロに任せるのが安全で確実な解決策となります。気になるポタポタ音は、放置せずに早めに対処することが大切です。