マンションで暮らしていて、突然自分の部屋だけ水が出なくなるという経験は、非常に焦るものです。キッチンで洗い物をしようとしたら、あるいは朝の洗顔をしようとしたら、蛇口をひねっても一滴も水が出てこない。隣の部屋からは生活音が聞こえてくるのに、なぜ自分の部屋だけが断水しているのか。パニックに陥りそうになりますが、まずは落ち着いて状況を確認することが大切です。多くの場合、原因は意外と単純なところにあり、自分で解決できる可能性も十分にあります。最初に確認すべきなのは、部屋全体の「止水栓」です。止水栓とは、各住戸への給水を個別に止めたり出したりするためのバルブのことで、通常は玄関ドアの横にあるパイプスペース(メーターボックス)内に設置されています。何かの拍子にこの止水栓が閉まっていると、部屋全体の水が止まってしまいます。水道メーターの近くにあるハンドルやレバーを確認し、もし閉まっていれば、反時計回りにゆっくりと回して開けてみてください。この操作だけで、あっけなく水が出るようになるケースは少なくありません。また、特定の蛇口だけ水が出ない場合は、その水回り専用の止水栓が閉まっている可能性も考えられます。例えば、キッチンならシンクの下の収納部分、洗面台ならその下の戸棚の中、トイレならタンクの横の壁や床に、それぞれ止水栓が設置されています。清掃や軽微な修理の際に誤って閉めてしまい、そのまま忘れてしまうこともありますので、心当たりがなくても一度確認してみる価値はあります。