キッチンの蛇口として今や主流となった、一本のレバーで水量と温度を調節できるシングルレバー混合水栓。そのスタイリッシュで便利な構造の裏側で、ポタポタという水漏れの最も一般的な原因となっているのが「バルブカートリッジ」という部品の存在です。 このバルブカートリッジは、レバーハンドルの内部に収められた、蛇口の心臓部とも言える重要なパーツです。内部には精密に作られた二枚のセラミックディスクが入っており、レバーの上下左右の動きに連動してこのディスクがスライドします。ディスクの重なり具合を変えることで、水とお湯の通り道を巧みに開閉し、吐水口から出る水の量と温度を一度に調節しているのです。 私たちが蛇口を閉める時、レバーを下げると、このセラミックディスクが水の通り道を完全に塞ぎ、水が止まる仕組みになっています。しかし、長年の使用により、このディスクの表面が摩耗したり、内部のゴム部品が劣化したりすると、完全に密閉することができなくなります。その結果、わずかな隙間から水が漏れ出し、「ポタポタ」という水漏れが発生するのです。 つまり、蛇口の先端から水がポタポタと止まらないという症状は、このバルブカートリッジが寿命を迎えたことを知らせるサインなのです。この場合、修理方法はカートリッジそのものを新しいものに交換するしかありません。 カートリッジの交換は、適合する部品さえ手に入ればDIYも可能ですが、製品によって構造が複雑なものもあります。もし10年以上使用している蛇口であれば、蛇口本体ごと交換した方が、他の部分の劣化も考慮すると結果的に安くつく場合もあります。 シングルレバー水栓のポタポタ水漏れは、カートリッジの劣化が原因。この基本構造を理解しておくだけで、トラブルに冷静に対処し、適切な判断を下すことができるようになります。