お風呂の排水溝の流れが悪くなった時、多くの人が真っ先に思い浮かべるのが「パイプユニッシュ」に代表される市販の液体パイプクリーナーでしょう。テレビCMなどでもおなじみのこれらの製品は、正しく使えば非常に有効な解決策となりますが、その効果と限界を理解しておくことが大切です。 パイプユニッシュなどの製品が効果を発揮する理由は、その主成分である「水酸化ナトリウム」にあります。水酸化ナトリウムは強力なアルカリ性の物質で、髪の毛や皮脂、石鹸カスといった、浴室の詰まりの主な原因であるタンパク質や油汚れを化学的に分解し、溶かす働きがあります。これにより、手の届かない排水管の奥にこびりついたヘドロ状の汚れを除去し、水の通り道を確保するのです。 効果を最大限に引き出すためには、いくつかのポイントがあります。まず、使用前に排水口のヘアキャッチャーなどに溜まった物理的なゴミ(髪の毛など)をできる限り取り除いておくこと。これにより、薬剤がより直接的に奥の汚れに作用しやすくなります。次に、製品に記載されている規定量を守り、指定された時間(通常は15〜30分程度)しっかりと放置すること。そして、最後は十分な量の水(できればお湯)で一気に洗い流すことが重要です。 ただし、パイプユニッシュは万能ではありません。おもちゃやヘアピン、カミソリの刃といった「固形物」が詰まりの原因である場合、薬剤で溶かすことはできないため、全く効果はありません。むしろ、無理に流れを良くしようとすることで、固形物をさらに奥へ押し込んでしまうリスクさえあります。 パイプユニッシュを試しても流れが全く改善しない場合は、固形物が詰まっているか、あるいは汚れが薬剤だけでは分解できないほど固着してしまっている可能性があります。その場合は、無理に薬剤を繰り返し使うのではなく、速やかに専門の水道業者に相談するのが賢明な判断と言えるでしょう。
排水溝の流れが悪い時にパイプユニッシュは効く?